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私が担当しているのは、人工衛星の「追跡管制システム」という分野です。地上のオペレーターが、打ち上げた人工衛星に信号を送ったり、逆に、人工衛星から電波を受け取ったりするための設備や装置を制御するシステムですね。人工衛星を制御する、あるいは人工衛星が何を言っているのかを分析するためには欠かせないもの。つまり、人工衛星と対話するツールを作っているといってもいいかもしれません。
人工衛星を制御したり、対話をしたりするシステムの開発というとSFチックで華やかなイメージがありますが、実は意外と地味なものです。普段はすぐ近くに人工衛星の実物があるわけではなく、多くの時間をパソコンのモニタを見つめ、キーボードをたたいて過ごします。そして、多種多様なテストの繰り返し…。そんな作業の中で常に頭にあるのは、運用する人がいかに使いやすいシステムを作るか、いかに拡張性を持たせることができるか、ということです。プロジェクトは人工衛星の開発から始まってロケットの打ち上げ以降もずっと続きますからね。自分の作ったものが結果としてユーザーの方から「使いやすい」「これはいい」という評価をいただくと、それは喜びとやりがいにつながりますね。
ただ、やはり一番充実感が得られるのは打ち上げが成功したときでしょう。ロケットが上がる音や振動を体感し、その場にいるスタッフが成功を喜び合う。よくNASAのスペースシャトルの打ち上げが成功したとき、スタンディングオベーションが起こりますよね。あの感じです。なかなか体験できることではないですから、「この仕事をやっていて良かった」と思える瞬間ですね。
今までかかわった人工衛星で代表的なものは、電波天文観測衛星「はるか」ですね。宇宙科学研究所(現:宇宙航空研究開発機構(JAXA))殿が開発して、1997年に打ち上げられた人工衛星です。宇宙に浮かぶ「電波天文台」として機能する人工衛星ですね。打ち上げ前からシステム開発に携わり、準備を進めてきましたので、打ち上げが成功したときはホッとしました。ただ、私たちの仕事の目的は「打ち上げること」だけではなく、「打ち上げてからの運用」です。オペレーションする人たちにとっては、きちんと運用できてはじめて仕事になるわけですから、私たちも気が抜けません。システムのメンテナンスや更新という作業もあります。人工衛星がその役割を終えるまで、私たちの仕事は続くんです。
今は新しい人工衛星のシミュレーションを繰り返している段階ですが、打ち上げ、運用の成功をイメージしながら、日々の仕事に取り組んでいます。
宇宙への興味を感じ始めたのは、ずいぶん前のことですね。私が子どものころは、テレビで「宇宙戦艦ヤマト」「機動戦士ガンダム」といったアニメが人気でした。
アニメの舞台は宇宙。そのほかにも、映画などを通して宇宙についての情報が入ってきていました。そんな時代を過ごすうちに、「宇宙ってスゴイ、面白そうだな」と(笑)。それがすべてのきっかけだったかもしれません。
学生時代はコンピュータ関連の学科を専攻しました。
卒業後の進路を考えていたとき、自分が学んだコンピュータの知識と、子どものころから持ち続けていた宇宙への興味、その両方を満足させてくれる職業に出会いました。それがNEC航空宇宙システムでの仕事だったんです。
まさに「これだ!」という感じです。自分が作ったシステムが、宇宙を飛んでいる人工衛星の制御にかかわっている。長年の夢がかなったと言ってもいいと思いますね。
休日は、子どもたちとの時間を大切にするようにしています。小学生の男の子と幼稚園に通う女の子がいるのですが、彼らと遊ぶことが私の一番のリラックス法。仕事が大変な時期でも、子どもたちと一緒にいれば疲れも吹っ飛びますね。